FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦ラリーフィンランド。P−WRCの併催ではないラリーであるが、フィンランド国内ではアキ・テイスコネンの人気は絶大であるため地元で行われるこのラリーにグループNクラスで参戦となった。そして今回このラリーにテインは「Gr.Nダンパー」に新機構を投入した。
この新機構のひとつは油圧による調整式のバンプストッパーである。フィンランドラリーといえば飛距離40mを超える大ジャンプがありその着地時に大きな入力がマシンを襲う。この着地での衝撃を受け止める為の機構である。ジャンプの着地だけならスプリングレートを上げて対応も可能だが、フラットな路面での操縦性やトラクションに影響が出てしまう。フラットな路面での路面追従性と大ジャンプ着地での安定性を両立させるための新機構である。さらにもうひとつの新機構を伸び側、縮み側のバルブに設けた。これは微低速での減衰力をコントロールするバルブでありトラクションや路面追従性の向上を図る機構である。この2つの新機構で良路での極微低速の動きから、悪路での高速の動きまでを両立できるサスペンションへと進化した。この新たな「Gr.Nダンパー」を装着したテイスコネンのインプレッサは、序盤こそパンクにより出遅れたが地元での勝利を目指し果敢にアタック。グループNクラスのトップ争いまで順位を上げる走りを見せる。しかしこの熾烈な争いのなかレグ2でミッションにトラブル発生。我慢の走りを強いられグループN2位となる。レグ3、このままでは終われないテイスコネン。トラブルを抱えながらも驚異的な追い上げを見せトップにプレッシャーをかけ続ける。トップまで20秒に迫ったところで1位の選手にトラブル発生。テイスコネンはトップに踊り出てそのままゴールを迎える。フィンランドラリーのグループN優勝を遂げたのであった。
今回の優勝はテイスコネンの果敢なアタックと共に、進化した「Gr.Nダンパー」の性能も一役かっていたのは言うまでも無い。そしてこのダンパーは更なる進化の途中であり世界の頂点を目指す。 |