


ステージ、コンディションが似ていることから、ラリージャパンの前哨戦として注目を集めたラリー・ニュージーランドが8月30日、ハミルトン市内を舞台にしたセレモニアルスタートで幕を開けた。ラリーウィークの合同テストからTEINユーザーは好感触で、30日のシェイクダウンでもフローディンが1回だけの出走、ヴェルツノフが走行を見合わせるほど抜群の仕上がり。イェレップ、ヴォイテックら三菱ユーザーたちはアンダーステアの症状に苦戦するものの、TEINのエンジニアがフロントセクションのセッティングをソフトな味付けに変更することでハンドリングのフィーリングが改善するなど、まさに4台の上位入賞が期待されていた。
が、明けた翌31日のレグ1ではサバイバルラリーが展開。SS1でヴォイテックがコースアウトを喫しレグ1を離脱するほか、続くSS2では6番手のフローディンにタービンブローが発生するなどTEINユーザーも予想外のハプニングに見舞われる。そのなかで順調な立ち上がりを見せたのがロシアの新星、ヴェルツノフでコンスタントな走りを披露し、3番手でレグ1をフィニッシュ。ノントラブルのイェレップが13番手、セカンドループでタービントラブルが再発したフローディンが17番手、スーパーラリーを申請したヴォイテックが20番手で続いた。
しかし、表彰台の獲得が期待されていたヴェルツノフも翌9月1日のレグ2ではハプニングが続出。ファーストループでミッショントラブルが発生するほか、セカンドループの1本目、SS10ではパンクを喫し、最終的にはコースアウトでストップする。また追走が期待されていたフローディンもタービントラブルが再発し、ファーストループを終えた段階でリタイアに……。さらにヴォイテックもSS6でパンクに見舞われて大幅にタイムロス。その結果、イェレップが11番手に浮上し、ヴェルツノフが13番手、ヴォイテックが19番手でレグ2を終了した。
このようにTEINユーザーたちも度重なるアクシデントで苦戦を強いられることとなったが、イェレップ、ヴェルツノフ、ヴォイテックらはレグ3でも粘り強い走りを披露する。結局、無傷で走り抜いたイェレップがTEINユーザーの最上位となる10位で完走するほか、スーパーラリーで再出走を果たしたヴェルツノフも11位に浮上。ヴォイテックは燃料計のトラブルでガス欠症状に見舞われたものの、19位で完走を果たすなど、3台のTEINユーザーたちは過酷なラリーを走り抜き、そのパフォーマンスを証明した。
■担当エンジニアのコメント(テイン開発課/菅野一平氏)
「イェレップ、ヴォイテックらの三菱ユーザーは8月のフィランドに投入した最新スペックのダンパーを採用。SUBARUユーザーのヴェルツノフはソフトなバージョンに変更し、フローディンは第3戦アルゼンチンからのスペックをベースに微低速域の減衰力を改善した仕様で対応しました。ラリーではトラブルが続出し、目立ったリザルトは残せませんでしたが、サスペンションに関しては特に問題がなく、ハンドリング、トラクションともにドライバーから高い評価を受けています。次戦のラリージャパンも今回のニュージーランドの延長にあるので、もう一度フィンランドでテストを行なって最終的なスペックを煮詰めたいと思います」
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