「World Toughest rally=世界一過酷なラリー」として知られるこのイベントでは、数々の信じられないことが起きると言われている。ここ最近のサファリラリーは、世界選手権ではなくアフリカンラリー選手権のイベントとなっており、90年代までの総走行距離5000kmから比べ、かなりこじんまりとした総走行距離約700kmとなっている。とは言え、ここケニアの各ステージは、相変わらずその牙を研いで待っていた。イベントの週の月曜日には、ナイロビから南西に約20kmほど行ったススワ(Suswa)近郊のンゴンゴ(Ngong)という村はずれでプライベートテストが行なわれた。レンガ色の赤い土、小麦粉のように細かい土、どこへでも入り込むダスト。テスト開始早々にこのダストが車内に侵入しまるで前が見えず、その対策に追われたものの2種類のセットを見つけ無事テストは終了した。そして、レッキ。ここでSSの下見をするのだが、早速、サファリの洗礼を受けた。高速の右コーナー途中にある深さ20〜30cmほどの穴を左前輪がダイレクトに通過してしまった。フロントガラスに1mほどのクラックが2〜3本入るほどのインパクトだった。当然クルーは、ペースノートへ「コーション!」のサインを入れた。
スタートは、金曜日の午後ナイロビ市内中心部のケニヤッタインターナショナルコンファレンスセンター(KICC)前、ケニア大統領まで登場し盛大に催された。続くスーパースペシャルステージ(SSS)は、直ぐ隣の公園内の道路を使ったターマックのショートステージで、それこそジムカーナである。ラリータイヤのブロックを落とし、車高も下げ、プライベートチームならではの即席ターマック仕様でアタックし、まずはトップタイムをたたき出した。翌、土曜日はナイロビから北西に約120km行った、エレメンタイタ(Elementaita)湖畔でLeg1のステージだ。サービスも移動し、三好選手のアタックを支える。途中、ステージ内でシマウマと2度ほど遭遇し、クルマの損傷を避けるべくタイムロス覚悟でアクセルを緩めざるを得なかった。おまけに外国人選手だけの妙なペナルティーまでくらい3位までドロップ。そして、日曜日のLeg2は、ナイロビの南東約30kmにあるアティリバー(Athi River)周辺のステージである。レッキ中に洗礼を食らったあの場所だ。ここまでに、既に1/4の車両がリタイヤしている。しかし、上位陣との差を詰めるべくアタックを続けた三好選手は、総合4位、アフリカチャンピオンシップ(ARC)1位で2008年のサファリを終えた。 |